鬼目ナットを使うと何ができるのか?ビス留めとは何が違うのか?
たまーに、こんな質問を頂きます。
簡単に言うと、「鬼目ナットを使えば、分解できる家具が作れます。」
ビス留めだと、分解して同じ穴を使って組立直そうとしても、引き寄せ強度が下がります。
これを繰り返すと最終的には、穴がグズグズになって組立すらできなくなります。
その点、鬼目ナットを使えば、木材に強固なナットが埋まっているようなものです。
取付け・取り外しするネジは、金属のナット部分のネジ山に噛んでいるので、木材を壊す心配がありません。
もし、分解する可能性があるのであれば、鬼目ナットって便利なものです。
この記事では、鬼目ナットの使い方と、鬼目ナットにも種類があるので、その使い分け方を紹介してみたいと思います。
この記事の内容
鬼目ナットの種類
鬼目ナットは、大別して4種類あります。
区別の仕方としては、以下のようになります。(実際はその他にもありますが主に使用するものだけ抜粋)
まずは、取付け方法での区別です。
叩き込んで取り付けるのか、六角レンチでねじ込むのかの違いです。
このあたりは、好みで良いと思いますが、締結間を感じられるのは、やはりねじ込みタイプです。強度もねじ込みタイプの方が強いです。個人的にも、ねじ込みタイプが好きです。
叩き込みは、工場などで圧入ができるので、量産品に向いていたりします。
次に、ツバ無しかツバ付かです。
ツバ無しは、下穴を深く掘っておけば、潜らせて施工することができます。穴に対して深さのコントロールができるので、やや深くするなど締結時の密着性をアップさせることができます。
ツバ付きは、ツバの部分までしか木材に潜りません。そのため、一定の深さでの施工が可能です。ストッパーが付いているイメージです。木材からツバの部分が出っ張る構造のため、締結時にやや、浮いてしまう場合があります。
大きな違いは、そんなところでしょうか?
それでは、それぞれの取付け方を見ていきたいと思います。
鬼目ナットの取付け方
鬼目ナットAタイプの取付け方
鬼目ナットAタイプは、叩き込み(打ち込み式)のツバ無し鬼目ナットです。
下穴径
規 格 | 全 長 | 参考下穴径 |
---|---|---|
A M4x10 | 10mm | 5.6~6.0 |
A M6x10 | 10mm | 8.6~9.0 |
A M6x13 | 13mm |
柔らかい木材(杉・SPFなど)には、小さめ目に、硬めの木材(ラバー・オークなどの広葉樹)は、大き目な下穴が必要です。
- 適切な下穴径のドリルで下穴をあける。
- 玄能(金槌)で叩き込みます。
- ねじを締めて完了です。
鬼目ナットBタイプの取付け方
鬼目ナットBタイプは、叩き込み(打ち込み式)のツバ付鬼目ナットです。このタイプは、ツバの部分が厚いのでツバで荷重を受ける使い方ができます。板と板を締結する他、アジャスターの受けなどにも使用できます。
下穴径
規 格 | 全 長 | 参考下穴径 |
---|---|---|
B M4x11.5 | 11.5mm | 5.6~6.0 |
B M5x12 | 10mm | 7.1~7.5 |
B M6x15.5 | 15.5mm | 8.6~9.0 |
柔らかい木材(杉・SPFなど)には、小さめ目に、硬めの木材(ラバー・オークなどの広葉樹)は、大き目な下穴が必要です。
- 適切な下穴径のドリルで下穴をあける。
- 玄能(金槌)で叩き込みます。
- ねじを締めて完了です。
鬼目ナットEタイプの取付け方
鬼目ナットEタイプは、ねじ込み式のツバ無し鬼目ナットです。
下穴径
規 格 | 全 長 | 参考下穴径 |
---|---|---|
E M4x10 | 10mm | 5.7~6.0 |
E M5x13 | 10mm | 7.7~8.0 |
E M6x20 | 13mm | 8.7~9.0 |
柔らかい木材(杉・SPFなど)には、小さめ目に、硬めの木材(ラバー・オークなどの広葉樹)は、大き目な下穴が必要です。
- 適切な下穴径のドリルで下穴をあける。
- 六角棒レンチを使ってねじ込みます。
- ねじを締めて完了です。
鬼目ナットDタイプの取付け方
鬼目ナットEタイプは、ねじ込み式のツバ付鬼目ナットです。ツバ部分で止まるので、一定の深さで安定して取り付ける事ができます。
下穴径
規 格 | 全 長 | ツバの大きさ | 参考下穴径 |
---|---|---|---|
D M5x13 | 13mm | 11.5mm | 7.7~8.0 |
D M6x13 | 13mm | 12.5mm | 8.7~9.0 |
柔らかい木材(杉・SPFなど)には、小さめ目に、硬めの木材(ラバー・オークなどの広葉樹)は、大き目な下穴が必要です。
- 適切な下穴径のドリルで下穴をあける。
- 六角棒レンチを使ってねじ込みます。
- ねじを締めて完了です。
ツバ付の場合は、締結時にツバ分だけ隙間があくことがあります。特に、広葉樹の場合は固いのでツバ部分が潜りこみません。
下穴をあける前に、ボアビットなどでツバの大きさと厚さ分の掘り込みをしておくとキレイにおさまります。
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ずぼらな感じで穴位置を決める方法
ごく個人的な方法かもしれませんが、じますけが、鬼目ナットとボルトで接合する時は、こんなずぼらな感じで位置決めします。
- 接合したい部分をマーキング
- つなぎ合わせたい部材をクランプで固定
- 細いドリルで貫通穴をあける
- 穴位置のマーキングができる
これで、板側、木口側の締結したい部分に、ずれずに同時にマーキングが行えます。もっと手抜きの場合は、ドリルを使用せずに、スリムスレッドで打ち付けてしまいます。複数個所の接合を行う場合は、仮固定もできますし便利です。
もし、スリムビスを使用する場合は、画像のように木材に頭を潜らせない状態でストップするようにしてください。
あとは、使いたいボルトと、鬼目ナットの下穴径で穴あけをすれば下穴完了です。
鬼目ナットの強度を上げる方法
鬼目ナットは、打ち込みの時や、ねじ込みの時に木工用ボンドを塗布することで緩みにくく強度を上げる事ができます。
木工用ボンドを塗布することで、木材がふやけ膨張により鬼目ナットを締め付け、きつく締結できるからです。また、木部がボンドによって硬化するので、合わせて補強効果があります。
ボンドを塗布する際は、穴の中に流し込むのではなく、鬼目ナットの周囲に塗る感じにします。
穴の中に流し込むと、余分なボンドが、鬼目ナットの内部のネジ山に悪影響となる場合があります。
鬼目ナットの周囲からあふれてきたボンドは、濡れ布巾などで良くふき取っておいてください。
そのまま硬化してしまうと、デコボコになって締結時に浮いてしまうことになりかねません。また、塗装にも影響があるので注意が必要です。
まとめ
今回は、鬼目ナットの取付け方をまとめてみました。
木材の接合方法には、色々なやり方がありますが、鬼目ナットを使用すれば、繰り返し組立と分解ができるのが魅力です。
IKEAなどの自分で組み立てる方式の家具は、ほとんど、この方式で組み立てています。
もちろん、ねじ屋としては、ビス留めの簡単さや、頑丈さも忘れないで欲しいです。
あっ、あとは、家具屋さんの家具のようにビスを見せずに木材を接合するダボ継ぎの記事も書いていますので、よかったら、そちらもご覧ください。