・コーススレッドは木工にとって最高のビスなのか。②

②からの続きです。

引き続きコーススレッドの派生ビスたちをご紹介します。

弱点 その③

鉄のコーススレッドだとサビちゃう。


 せっかく木材切って、ビス打って、頑張って作ったのにビスからサビちゃったなんてのは嫌ですよね。

通常コーススレッドに使用されているメッキは、ユニクロメッキと呼ばれる青みがかった銀色のものです。屋内ならともかく、屋外では正直、サビます。

なら、ステンレス使えばいいじゃん!

と思ったあなた、コーススレッドのステンレスはサビが簡単に発生するのです。

 

-ステンレスもサビるの?-

 

基本的には、ステンレスも成分はほとんど鉄で、サビにくいだけなのですが、特にコーススレッドに使用されるステンレスはサビやすいものなんです。

コーススレッドは、インパクトドライバーの使用などで、普通のねじよりも強い力を受けます。そのために、ある程度強くつくらなければなりません。

 

鉄に焼きを入れるって聞いたことありますか?

コーススレッドも焼きが入っています。

ステンレスも焼きが入っているのですが、サビにくいステンレスは焼きが入れられない(特殊な方法を除いて)のです。

だから、焼きの入れられるステンレスの中でもSUS410という種類のものを使用する事が多いのです。高価なステンレスなのにサビやすい。なら、何を使えばいいのでしょう。

 

 そんな時には、このビスが最適です。

 

サビに強いコーススレッド

 

その名の通り、サビにくいコーススレッドです。

鉄に特殊のメッキをかけたコーススレッドなのですが、これがステンレス以上の耐食性を持っています。

 

見た目はこんな感じ↓

色目はステンレスのようにグレーっぽい色ですね。

サビに強いコーススレッド
サビに強いコーススレッド

ーサビに強い理由ー

基本的な構成は、普通の鉄のコーススレッドと一緒です。

鉄でできたコーススレッドの上にメッキをかけています。

ただ違うのは、表面処理にイオニスコートという特殊なメッキを使用していることです。

 

このイオニスコート、錆びを抑える効果がいままでのメッキよりも格段に高く、その上、ビスにとって重要な自己修復性を持っています。

自己修復性とは、メッキに傷がついても、自分で傷を埋める機能の事です。

 

ビスは、相手材との摩擦や十字穴とビットの嵌合で傷が付いたりします。

普通のメッキだと、ここから錆びが発生します。

対して、サビに強いコーススレッドは自己修復性があるので、それらの傷を修復して傷から発生する錆びをも防ぐのです。

どうです、すごい機能ですよね。

 

では、どのくらいサビにくいのか実験してみましょう。

今回は大掛かりな試験ですが、塩水噴霧という試験をしてみます。

 

塩水噴霧試験とは、簡単に言うと、一定温度・一定湿度の試験槽の中で、ビスに塩水をかけ続けるといった試験です。これによって、錆びやすい環境を作って、どれだけ耐食性があるのかを調べる実験です。

 

その結果はビジュアルで。

 

普通のコーススレッド頭部側
普通のコーススレッド頭部側
普通のコーススレッド軸部側
普通のコーススレッド軸部側
ステンレスコーススレッド頭部側
ステンレスコーススレッド頭部側
ステンレスコーススレッド軸部側
ステンレスコーススレッド軸部側
サビに強いコース頭部側
サビに強いコース頭部側
サビに強いコース軸部側
サビに強いコース軸部側

左から、

普通のコーススレッド 鉄でユニクロメッキ

ステンレスコーススレッド SUS410

サビに強いコーススレッド

となります。

 

同じ時間、塩水噴霧試験を行った状態です。

結果は一目瞭然ですよね。普通のコーススレッドなんか、錆びでグサグサです。

ステンレスコースも頭部側から見れば綺麗ですが、軸はサビサビ。

対して、錆びに強いコーススレッドは、まだまだ元気な状況です。

 

試験した結果、こんなにも差がでました。なかなか優秀な結果だと思います。

 

製品は安心のMADE IN JAPANってとこにも惹かれます。

このところ、ビスも中国製造から国内製造に戻ってきているようですね。

もっともっと国内の工場が元気になってくれれば良いのですが。

 

まとめ

 

そんなこんなで、コーススレッドの派生兄弟たちの代表的なものをご紹介しました。

 

で、お題目にある【コーススレッドは木工にとって最高のビスなのか?】に関しての結論ですが・・・。

おそらく、価格の安さや使い勝手、入手のしやすさを総合的に考えたら最高のビスだと思います。ただ万人・万能に作られているため弱点はあります。

そして、それを補う便利なビスたちも存在します。

 

結論としては、最高のビスとしましたが、

自分の目的に対して、何が一番良いのかを考えながら使い分けるのが良いかと思います。